【新唐人2013年5月11日付ニュース】2010年に中国の吉利(ジーリー)自動車に買収されたスウェーデンの自動車メーカーボルボ・カーズ社が5月3日、ストックホルムで記者会見を開き、2012年度の年次レポートを発表しました。中国資本の傘下に入ったボルボ・カーズの今後の動きが注目されます。
ヨーロッパをはじめ、先行き不透明な世界経済は、自動車業界にも影を落としています。自動車メーカーの多くが中国市場に期待を寄せています。
ボルボ社の報告書によると、2012年度の売り上げは損益分岐点を辛うじてクリアするも、来年度も横ばいが続くと予想しています。2012年度の販売台数は42万1,000台。うち、中国市場での販売台数は10%弱の41,000台に留まり、吉利の予想を遥かに下回るものでした。
今年4月は中国市場での車の販売台数が最も見込まれた月でしたが、予想に反して販売は振るわなったようです。
吉利自動車の李書福(り しょふく)会長は、ボルボは中国市場のニーズによりマッチした車造り、特に内装をより充実させる必要に迫られていると示しました。
しかし、中国でのブランド確立は容易なことではありません。吉利自動車はボルボ・カーズの買収に伴い、中国に3つの組立工場を建設しました。ボルボ・カーズ社の買収費用を含む資金総額12億ドルは、国有の中国開発銀行から借入しました。
中国問題専門家 陳志飛氏
「私が思うには政府は融資条件として、吉利にボルボ社を子会社化させ、李書福会長を強要して、貧困地域に生産拠点を建設しました。部品の生産拠点は全国に散在し、吉利にとって、大きな試練となっています。吉利の成長に対する政府の真剣度に疑問を持たざるを得ません」
調査会社ファザムの最近の研究によると、吉利自動車は中国政府からかなりの補助金を与えられているそうです。
また、一部の業界ウォッチャーによると、この子会社化の目的は、中国当局がボルボの技術と知的所有権を合法的に獲得するためだと指摘しています。
ボルボ・カーズ社長 ホーカン·サムエルソン氏
「我々はボルボグループの技術を守りつつ、中国の合弁会社がボルボの生産時に第三者へのIP移転が無いように留意しています」
中国の会社が国際的に有名な自動車メーカーを買収したのはボルボ・カーズが初めてで、今後の動向は業界からも注目されています。
新唐人テレビがスウェーデン、ストックホルムからお伝えしました。
(翻訳/周雨佳 編集/佐藤・坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)